この記事でわかること
- 成婚率の「分母」が社ごとに違う理由
- 「成婚」の定義も社ごとに違うこと
- 出回る「10%」という数字の出どころ
- 公式サイトの注記の読み方
この記事は、結婚相談所の公式サイトを実際に開いて、成婚率の見出しとその下の注記を読み比べた結城ゆいが、各社の一次情報をもとに編集しています。
まず結論
50%も10%も、どちらかが嘘とは限りません。同じ実績でも、割り算の分母しだいで50%にも10%にもなります。結婚相談所の成婚率は、社によって分母も「成婚」の定義も違うため、数字だけを比べても意味がありません。見出しのすぐ下にある注記(分母・対象期間・調査機関)を読むことで、その数字が何を表しているかが分かります。
「結婚相談所 成婚率」と検索すると、10%前後という数字と、それとは別に50%近い高い数字が同時に出てきて、戸惑ったことはないでしょうか。成婚率に「からくり」があると言われるのは、分母(何を母数にするか)も「成婚」の定義も会社ごとに違い、同じ人数が成婚しても、計算式を変えるだけで結果がまったく違う数字になるからです。この記事では、大手2社の公式サイトを実際に開いて、見出しのすぐ下にある小さな注記を読み比べました。数字そのものより、どこを見れば数字の意味が分かるのか。そこを一緒に確認していきます。
成婚率の「分母」は具体的に何が違うのか

主に使われている分母は「全退会者数」「年間平均在籍会員数」「入会者数」の3つです。分母が変われば、同じ成婚者数でも結果はまったく違う数字になる点に注意してください。
説明のための仮の数字で確認してみます。ある1年間で入会者が100人、そのうち成婚退会が10人、それ以外の理由で退会した人が10人(全退会者は合わせて20人)、年間の平均在籍会員数がおよそ100人だったとします。
| 分母にするもの | 計算式(仮の数字) | 結果 |
|---|---|---|
| 全退会者数で割る | 成婚退会10人 ÷ 全退会者20人 | 50% |
| 年間平均在籍会員数で割る | 成婚退会10人 ÷ 平均在籍100人 | 10% |
| 入会者数で割る | 成婚退会10人 ÷ 入会者100人 | 10% |
※これは仕組みを説明するための仮の数字です。実在する相談所の実績ではありません。
同じ「成婚退会10人」でも、分母の選び方だけで50%にも10%にもなります。どの分母を使うかは会社や連盟によって異なるため、契約を検討する際は各社の公式サイトや契約時の書面で算出方法を確認しておくと安心です。
「成婚」の定義も会社によって違う
「成婚」が指す状態も、会社や連盟によって扱いが異なります。婚約が成立した時点を指す会社もあれば、結婚の意思を固めた時点、交際が一定段階(真剣交際など)に進んだ時点を「成婚」とみなす会社もあります。
「仮交際」「真剣交際」という呼び方も、一部の連盟が使っている用語です。同じ言葉を使わない会社もあるため、「結婚相談所ではみな同じ基準」と考えないほうがよいでしょう。個別の定義は、各社の公式サイトの説明文か、入会前の説明資料で確認できます。
広く出回っている「10%」という数字の出どころ
複数の結婚相談所や比較サイトが、2006年に経済産業省が公表した調査研究報告書を、この「10%」という数字の出どころとして挙げています。ただし、その報告書は現在の経済産業省のサイトには見当たらず、確認できたのは国立国会図書館のアーカイブに残っているものだけでした(2026年8月23日に確認)。
出典:経済産業省「少子化時代の結婚関連産業の在り方に関する調査研究報告書」(2006年5月2日公表・国立国会図書館アーカイブ)
約20年前の調査を根拠に、現在の相談所全体を語る数字として一人歩きしている可能性があります。「10%」という数字を見かけたときも、いつの、何を対象にした調査なのかまでさかのぼって確認したほうが安全です。
大手2社の公式サイトを同じ日に開いて、注記を書き写してみた
算出式が複数あることは分かっても、実際に公式サイトの何を見ればいいのかは、あまり書かれていません。そこで、業界大手とされる2社の実績ページを同じ日に開き、見出しの数字とその下の小さな注記をそのまま書き写しました。
結城ゆいの取材メモ
2026年8月23日、IBJメンバーズとパートナーエージェントの公式サイトを同じ日に開き、成婚率の見出しとその下の注記をそのまま書き写しました。※公式サイトを開いて確認した範囲の記録です。資料請求・無料相談・体験登録はしておらず、交際・成婚の体験もありません。
| ① IBJメンバーズ | |
|---|---|
| 見出しに出ている数字 | 「成婚率 No.1」と表示されている(%表記なし)/婚約まで2人に1人以上/お見合い実現率94%/交際実現率83% |
| 注記に書いてある分母 (数字ごとに別々) |
・「婚約まで2人に1人以上」の注記=「一定期間内における全退会者のうち成婚退会者の割合(IBJシステム外での成婚を含む)」/2025年1〜12月・主要コース実績 ・「お見合い実現率94%」「交際実現率83%」の注記=「2025年1月〜6月までにプロフィールを公開した会員」(対象期間も母数の取り方も上とは別) |
| 根拠にした調査機関・時点 | 日本マーケティングリサーチ機構(2024年8月期) |
| 出典・確認日 | 公式サイト(2026年8月23日確認) |
| ② パートナーエージェント | |
|---|---|
| 見出しに出ている数字 | 成婚率 21.7%(自社)/結婚相談所大手2社の平均 約14.0%/国内一般の平均婚姻率 約5.4% |
| 注記に書いてある分母 (3つとも出所が別) |
・21.7%の注記=「年間成婚退会者数 ÷ 年間平均在籍会員数 × 100で算出」/2023年4月〜2024年3月の成婚退会者実績 ・約14.0%の注記=「2024年4月、各社HPより当社集計」(分母が揃っていない他社の公表値を集めたもの) ・約5.4%の注記=「2015年〜2020年の国勢調査から、20〜64歳までの国内男女平均成婚率を算出」(相談所の会員が母集団ではない) |
| 根拠にした調査機関・時点 | 株式会社DRC(2026年5月) |
| 出典・確認日 | 公式サイト(2026年8月23日確認) |
この表を並べてみると、次のことが分かります。
- 各社の公式サイトでは、どちらも「成婚率No.1」と表示されていますが、算出の根拠にした調査会社も、分母となる数字も異なります。2社の実績を並べて「どちらが高いか」を比べること自体が成り立ちません
- IBJメンバーズは%の数字を出さず「2人に1人以上」と書いている。パーセント表記より印象に残りやすい言い方といえる
- パートナーエージェントは「結婚相談所大手2社の平均 約14.0%」と並べているが、この14.0%は「各社HPより当社集計」とあり、分母が揃っていない他社の公表値を集計したもの。同じ物差しでの比較ではない
- 同じ図にある「国内一般の平均婚姻率 約5.4%」も、注記には「2015年〜2020年の国勢調査から、20〜64歳までの国内男女平均成婚率を算出」とある。相談所の会員を母集団にした数字ではないため、こちらも同じ物差しでは比べられない
各社の成婚率は算出方法や対象期間が異なるため、単純な比較はできません。個別の相談所選びは、各社の公式サイトの注記を確認したうえで、気になる点は消費生活センター等にも相談してください。
公式サイトを見るときに確認する3つのポイント

見出しの数字ではなく、そのすぐ下にある注記の中の、次の3点を確認すれば、数字の意味を取り違えずに済みます。
- 分母はどれか(全退会者数/在籍会員数/入会者数)
- 「成婚」はどこを指すか(婚約/結婚の意思を固めた時点/真剣交際など)
- いつの、どの範囲の実績か(対象期間・対象コース・全社か一部の支店かなど)
この3点は、どの会社の実績ページでも見出しのすぐ下か、ページ下部の注記・脚注に書かれていることが多い項目です。見つからない場合は、資料請求や無料相談の場で聞いても差し支えありません。
そして、聞いたときの反応そのものも判断材料になります。3点が注記のどこにも見当たらない、あるいは無料相談で尋ねても答えがはっきりしない——そうした場合、その相談所を候補から外す判断材料として扱ってかまいません。逆に、分母と対象期間をその場で説明してもらえるなら、数字の出し方について説明できる会社だと考えられます。
30代・40代など年代別の成婚率も、同じ視点で見る
年代別の成婚率について検索する方も多いですが、公表資料の該当ページを確認できていないため、この記事では具体的な年代別の数字は挙げません。年代別の数字を目にしたときも、ここまでと同じ3つのポイント(分母・成婚の定義・対象期間)を確認することが大切です。
参考として、IBJが公表した「成婚白書2024年度版」のプレスリリースでは、成婚を「婚約」、成婚率を「成婚者数 ÷(成婚者数+退会者数)」と説明し、2024年の成婚者数は15,374名、初婚の代表的な年齢像は女性34歳・男性36歳とされています。
ただし年代別の内訳(30代は何%か、40代は何%かなど)はプレスリリース単独では確認できず、報告書本体の該当ページも未確認のため、数字としては扱っていません。年齢を理由に「もう遅い」などと考える必要はなく、まずは自分が検討している会社の注記を確認することから始めれば十分です。
よくある質問
Q. 成婚率を公表していない結婚相談所は避けたほうがいいですか?
A. 公表の姿勢は会社によって様々です。今回確認したIBJメンバーズも%表記は出さず「2人に1人以上」という言い方をしていました。公表の有無だけで判断せず、算出方法や対象期間を確認するほうが実務的です。
Q. 成婚率の出し方(計算式)は決まっていないのですか?
A. 業界共通の算出ルールはなく、各社が自社の定義で計算しています。今回確認した2社も、分母も算出式も異なっていました。
Q. マッチングアプリと結婚相談所の成婚率は同じ物差しで比べられますか?
A. 定義や分母がそれぞれ異なるため、単純な比較はできません。気になるサービスごとに、公表条件を個別に確認することをおすすめします。
まとめ
- 結婚相談所の成婚率は、分母(全退会者数/在籍会員数/入会者数)が会社ごとに違う
- 「成婚」の定義(婚約/意思確認/真剣交際など)も会社や連盟によって異なる
- 広く出回る「10%」は2006年の経済産業省の調査を出どころとする例が多いが、現在は国立国会図書館のアーカイブでしか確認できない
- 大手2社の実績ページでは、どちらも成婚率No.1と表示されていたが、分母も認定機関も違うため、単純に比較はできない
- 数字を見るときは「分母」「成婚の定義」「対象期間」の3点を注記で確認する
気になる結婚相談所があれば、公式サイトの成婚率の見出しだけで判断せず、そのすぐ下にある小さな注記まで目を通してみてください。分母と対象期間が分かるだけで、数字の見え方はだいぶ変わってきます。